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朝はiPadとコーヒーとベーグル

カーテンの隙間からこぼれる朝日で目が覚める。朝食を食べたいが、ベッドから出たくない。もう少し毛布の温もりに包まれていたい。せめてコーヒーだけでも飲みたい。 仕方なくベッドから出て、コーヒーを淹れ、昨日買ったベーグルを一つ皿に乗せ、暇つぶしにiPadを持ってベッドに戻る。冷えた体に毛布の温もりが気持ち良い。...

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iPhoneの標準計算機で驚愕の発見

普段、計算機を使う機会は滅多にない。大きな計算をすることもないし、小さい数字は暗算で答えを出してしまう。 昨日、久しぶりにiPhoneの計算機を使った。これで4回目だ。1回目は一ヶ月の交通費、2回目は旅行の費用、3回目は彼女のメール返信率を求めた。3回目の計算では、何度か計算してみても答えは出なかった。私のそんな悩みを知る由もない彼女に、訊いてみた。すると答えは簡単、気まぐれだそうだ。...

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針と糸がなくても10秒でつけられるボタン

仕事が終わり、ワイシャツを脱ごうとしたとき、一つボタンが無いことに気付いた。営業中に外れたのだろう。ボタンの替えもないので、買ったばかりのワイシャツをくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に入れた。...

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パンくずリストの由来

ある日、私は森に捨てられた。 妹と一緒にたった二人で暗い闇の中を彷徨うことになってしまう。捨てたのは母親だったか、継母だったか、記憶が定かではない。とにかく森を抜け出さなければ、生きるために、妹を守るために。...

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僕には世界が見えていない

駅のホームへ上がる階段で短いスカートを履いたOLがいたら身を屈め、落ちた者を拾おうとする女性の胸元を凝視し、電車の中吊りの清純派女優が脱いだという宣伝文句に興味をそそられる。...

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幻想振動症候群

iphone / twicepix ブゥー、ブゥー、ブゥー。 駅に向かう途中、ポケットに入っているiPhoneが鳴った。私は気にせず駅へと歩を進めた。通勤ラッシュが過ぎたホームは閑散としている。大学生が音楽を聴きながら歩き、営業に向かうサラリーマンは新聞を読みながら黄色い線の内側に立ち、買い物に向かう老婆がベンチに座り、私はただ電車を待っていた。...

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「私、あなたのしゃべり方すごく好きよ。」

「私、あなたのしゃべり方すごく好きよ」。この言葉には二つの思い出がある。 ひとつは村上春樹の「ノルウェイの森」。ワタナベが小さなレストランでオムレツとサラダを食べていると、そこに同じ大学に通う緑という女学生が同じテーブルに座る。二人で他愛のない会話をしていると、彼女が言った。 「私、あなたのしゃべり方すごく好きよ。」   もうひとつは、2004年、シーザーズがジャーク・イット・アウトを唄った年だ。...

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テーブルを汚す彼女と、汚さないコーヒーカップ

彼女はコーヒーを飲む時に、唇をカップにしっかりとつけない。なぜか、と訊ねると、口紅がカップの縁についてみっともないでしょ、と言った。 ソファに座りながら右手でタバコを持ち、左手でコーヒーカップを持っていた。タバコを咥え、煙を吐き出し、そしてコーヒーを飲む。カップをテーブルに置くと、コーヒーの雫が垂れてテーブルにゆっくりと落ちていく。僕が彼女に恋に落ちたようにゆっくりと、そして規則正しく正確に。...

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もし魔法が一つ使えるなら

目を覚ますと、僕らは魔法を使えるようになっていた。 電話のベルが鳴る音で、目を覚ました。十四回目のベルで受話器を取ると、電話の相手は小学校で同じクラスだった灰田という男だ。彼は興奮しながら、ニューヨークヤンキースと契約した、と言った。32歳にもなってくだらない冗談は笑う事さえ思い付かない程の完成度だ。お前はどうなんだ、と訊いてきたが意味が分からず、いつもと何も変わらないよ、と適当に答えた。...

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娼婦の勝負服

「いつも…その恰好を?」 そう訊ねると、彼女は何も言わずにキスをしてきた。彼女と会うのは今日で12回目になる。いつも真っ赤なワンピースを着て、変わらぬ表情で、僕とセックスをする。そう、単なる娼婦と客の関係だ。...

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ハニートラップ

ピンポーン。 よく晴れた日の午後、私はプールのある庭で紅茶を飲んでいた。すると、玄関の方から耳障りな音が聞こえてきた。隣人がランチの残りでも持ってきたのか、友人が面白いゲームでも持ってきたのか、神父がカトリック信仰への誘いに来たのか、期待と不安がドアを開ける。...

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世紀の盗難

2012年10月、僕はピカソの絵を盗んだ。 オランダのロッテルダムにあるクンストハル美術館には、老人たちが自慢気な表情で歩いていた。蝶ネクタイをして、頭にハット帽を載せ、丈の長い背広を纏い、杖をコツコツと鳴らしながら廊下を彷徨っている。...

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醤油屋の浮気

「醤油と女は切らせるな!」 こんな貼り紙のある醤油屋がある。貼り紙は白い和紙に墨汁で文字が書かれており、文頭には赤い丸印が置かれていた。店主は気の利いた事を言いたがる陽気で、面倒臭い性格だ。何よりも醤油が好きで、刺身は醤油を舐める為にある、と自慢気に口にしていた。 僕が高校に向かう途中に醤油屋はあった。小さい頃から母親と醤油を買いに行っていたので、店主とも奥さんともいくらか仲は良かった。...

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反抗か、革命か

額から流れる汗が、こめかみを通過して、頬を伝って、顎でゆれる。それから机の上に開いている教科書の上に落ち、開かれた127ページに染みていく。まるで僕たちが学校という縛られた社会に自然に馴染んでいくように。 真夏になると教室は耐えられないくらいに暑くなる。扇風機もクーラーもない。サウナにいるようだ。ノートで仰いでも、ハンカチで汗を拭いても、どれも効果はさほどない。生徒は声にならない叫びをあげている。...

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ジャーナリストの葛藤

私は、死を追うジャーナリストだ。 戦争で殺された兵士を撮影し、レイプされたのに宗教的理由で処刑される事になった女性の磔を撮影し、ある居酒屋チェーンで奴隷のように扱われ自殺した女性の葬儀を撮影しに行く。...

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背徳のセックス

「私のこと、好きにしていいよ。」 女にこんな台詞を言われたら、どんな男でも喜ぶだろう。縛り上げて鞭で叩いてやろうか、看護婦の制服を着させて患者になりきるか、ベッドで何時間も愛撫しあうのも良い。しかし、目の前にいる女はブスだ。 僕は彼女の言葉にゆっくりと頷く。今はラブホテルにいるのだから、何を言われても仕方がない。僕は彼女とセックスする事を選択したんだ。...

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死色

人間は死ぬから美しいんだよ、と祖父は言った。 僕には、この言葉の意味を理解する事ができなかった。永く生きる事に意味はないという事か、儚いものにこそ魅力があるという事か、あるいは死体こそが美しいと考える芸術家であったのか。数ヶ月後に祖父が首を吊った今は、その答えは分からない。...

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同性愛の朝

カラスの鳴く声で目を覚ました。何とも最悪な朝だ。耳障りな音で、睡眠の邪魔をされた。不機嫌に、ベッドの隣に寝ている知らない男を見た。この男は誰なのだろう。昨晩のことを思い出す。 不潔で退屈そうな表情、反比例するかのような碧眼。その男の最初の印象だ。薄汚れたツイードのスーツに、ボーラーハットを被り、口ひげを生やしている。まるで戦場を切り抜けた手品師のようだ。 「お暇でございますか?」...

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テーブルを汚す彼女と、汚さないコーヒーカップ

彼女はコーヒーを飲む時に、唇をカップにしっかりとつけない。なぜか、と訊ねると、口紅がカップの縁についてみっともないでしょ、と言った。 ソファに座りながら右手でタバコを持ち、左手でコーヒーカップを持っていた。タバコを咥え、煙を吐き出し、そしてコーヒーを飲む。カップをテーブルに置くと、コーヒーの雫が垂れてテーブルにゆっくりと落ちていく。僕が彼女に恋に落ちたようにゆっくりと、そして規則正しく正確に。...

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再び、恋をする

これは、記憶喪失になった一人の男の物語である。 私は初めてこの話を聞いたとき、あまりの真実にすぐに信じることができなかった。どうしてこんな事が起こるのだろうか。神様のいたずらは、時にロマンチックな演出をしてくれる。偶然か、必然か、あるいは運命か。...

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